石坂啓の「茶番劇」は80年の初期の作品だ。その後「安穏族」という連載を80年代の中ごろまでヤングジャンプでしていたのだけど、これはちょっと息切れ気味だった。
最後のオチに切れ味がなくなってきたのだ。でも、これは致し方ないと思う。
「茶番劇」のようなテンションの高い漫画をいつまでも描き続けられるものではない。
石坂啓のこの漫画に限らずギャグ漫画なども、面白さのテンションを保ち続けるのは並大抵のことではない。だから、それらはみな短命だ。
石坂啓の「茶番劇」からちょっと横道へ外れるが…
「がきデカ」「マカロニほうれん荘」「ストップひばりくん」「コージ苑」あれや、これや…ギャグ漫画が多いのだけれど、「これは!」と思う漫画… そして爆発的人気が出る漫画たちがある。これらすべて、大人気となり世に迎え入れられた。そして…多くは長続きせず、短命だった。
面白い漫画が短命であるということは、よくあることで、それが繰り返されているのだ…といってしまえば、そうなのかもしれない。そうだと知りつつも、何か底の無い深く暗い穴をのぞいたような、寒さを感じてしまう。
あまり関係ない話だったかもしれないが、テンションの高さとか最後のコマで大オチがつく作り、といった石坂啓の「茶番劇」のストーリー構造を見ていると、実は石坂啓の「茶番劇」は、コマ数の多い四コマ漫画だったのではないか?と、ふと思ったりする。
石坂啓の「茶番劇」は1年ほどで終わってしまった。もっとも掲載誌のマンガ少年が持たなかったという現実もあるのだが。
この後生み出される、石坂啓の作品にはあまり見られない傾向なのだが、「茶番劇」は手塚漫画の影響を感じるコマやストーリー(設定)も垣間見られる。有名な話だが、石坂啓は元手塚プロのアシスタントでもあったのだ。
私は、その影響をうまく消化して、手塚治虫の一連の社会問題を取り上げた漫画のごとく、現代の手塚風社会派漫画を石坂啓が描けるのでは?と密かに期待していたのだが…。
80年台以降は、なんだかリアルな運動の方へ走って行ったので、とても残念に思う。
何かを訴えるのなら、漫画が描けるのだし、漫画の表現の方が、それ以外の活動するよりも、変なバイアスをかけられずに評価されると思うのだが。。
まあ人好き好きか。。。
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