80年代初頭、朝日ソノラマの「マンガ少年」は多感な田舎の高校生にとって、従来の漫画を逸脱する刺激的な漫画雑誌だった。そして私はこの「マンガ少年」の洗礼をモロに受けてしまった。
高橋葉介は、そんな「マンガ少年」の中でも従来の漫画をひときわ逸脱していた。
まずペンではなく、筆で描いている。ストーリーは猟奇的で、またこれが画風とマッチしている。そして、何よりもあの「眼」だ。キャラクターの「眼」の描き方が凄い。
80年代前半の漫画は、昭和初期頃のエログロ猟奇的なイメージが、ちょっとした流行だった。
高橋葉介に端を発する流行りかどうかは定かではないけれど、その流れにも高橋葉介の漫画は乗っていた。
高校生にとってその時代の流行は、世界のすべてといっても過言ではない。だから、当然のごとく「高橋葉介スゴイ!」となってしまった。
だけど、本当は流行のせいなんかじゃなく、高橋葉介が描くキャラクターの「眼」に見据えられ、何か催眠をかけられたからではないかと密かに思ったりもするのである。
高橋葉介の漫画を読んでみるなら、ちょっとイメージが破綻している部分もあるけれど「夢幻紳士」あたりがオススメだと思う。
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